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【プロバイオティクスGBN1に関する文献紹介】 |
弊社の販売している“プロバイオティクスGBN1”の乳酸菌のメーカーであるゲネジス研究所のコンドラテンコ会長から、ゲネジス研究所の保存するブルガリア菌のピロリ菌に対する抗菌作用に関する研究論文をいただきましたので、論文の内容を簡単に紹介します。 |
ブルガリア菌の抗ピロリ菌活性 |
研究方法 Mueller-Hinton液体培地で培養したピロリ菌を羊血5%添加したMueller-Hinton寒天培地に混釈して平板培養したシャーレに、滅菌白金耳で検体のブルガリア菌を接種し、ブルガリア菌の摂取した周りのピロリ菌の生育阻止環の大きさによって、供試ブルガリ菌のピロリ菌に対する抗菌活性を測定した。 試験はブルガリア菌の至適pHである酸性域(pH3.8-8.5)と中和した中性域(pH6.4-7.7)の両方で実施した。
結果 第1図にゲネジス研究所の保存しているブルガリア菌のピロリ菌33菌株に対する阻止率を示した。この図から、33株の全て(100%)のピロリ菌の発育を阻止できるブルガリア菌はなかったが、LB1,LB2,LB3は殆ど(86.7%)のピロリ菌に抗菌活性を示した。この結果からピロリ菌に対する抗菌活性はブルガリア菌だけでは完全(100%)ではなかったが、ブルガリア菌の菌株によって強弱があることがわかる。
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また、ブルガリア菌のピロリ菌の抗菌活性は、酸性域の方が中性域よりも強かった。このことはブルガリア菌が産生する乳酸もピロリ菌の生育阻止に関係していることを示すものと考えられる。 |
ブルガリア菌のピロリ菌に対する抗菌作用はブルガリア菌が産生する乳酸によるという説がある。しかし、第2図を見ると確かに酸性域の方が中性域よりも抗菌活性が強く表れているが、LB1、LB3に見るように乳酸を中和した中性域においても強い抗ピロリ菌活性を持つブルガリア菌が存在した。この結果はブルガリア菌の抗ピロリ菌活性はブルガリア菌が産生する乳酸のみによるのではなく、ピロリ菌に対する抗生物質かバクテリオシン(抗菌物質)を産生していることも考えられる。
第3図に抗菌剤のメトロニダゾル(MET)とクラリソロマイシン(CLA)の両方に耐性を持つピロリ菌3株に対するブルガリア菌の抗ピロリ菌活性を示した。 |
結論 ブルガリア菌は、抗菌剤耐性を持つピロリ菌を含めて、多くのピロリ菌の生育を阻止した。この抗ピロリ菌活性は乳酸菌の菌株毎に異なっていた。低pH域における抗ピロリ菌活性はピロリ菌の除菌のために重要である。しかし、中性域においてもブルガリア菌の抗ピロリ菌活性が観察された。 |
引用文献
Anti-Helicobactor pylori activity of Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus strains: preliminary report.
** Genesis Laboratories, Sofia, Bulgaria
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脚注 この研究論文によると、ピロリ菌は1種類ではなく多くの菌株が存在し、ピロリ菌に抗菌作用を示す乳酸菌も、すべてのピロリ菌の生育を阻害できるわけではないことがわかります。しかし、ゲネジス研究所の保有する菌株は特にLB1、LB2,LB3菌株は殆どのピロリ菌に抗菌作用を示しました。 (訳者 中垣剛典) |