月の献立

ケフィアの冷ややっこ風

                   
   作り方

1)

笊に清潔な布巾またはコーヒフィルター(紙)を敷き、発酵させたケフィアを入れて広
げ、涼しいところに1〜2時間おいて水分を切る。(このとき、下に落ちた透明な液は乳
清であり、スープや煮込み料理に使うとよい)

2)

わさび、または生姜はおろしておく。

3)

えびは、塩茹でして水にとり、冷めたら尾だけ残して殻をむく。

4)

モロヘイヤは葉先をちぎって茹で、青葱は小口切りにする。

5)

器にケフィアを盛り、えびとモロヘイヤを添えて、わさびを天盛りする。
好みでもう一つは、器にケフィアを盛り、青葱の小口切りと、削りかつおをのせて、おろ
し生姜を添える。

6) 

醤油をかけてお召し上がりください。
醤油は、出来ればだし醤油の様なマイルドなものがよい。

   (2001.08)

 

ケフィアと私

                                            料理研究家  杉立宏子   
 
 私が初めてケフィアにおめにかかったのは、今から12〜13年前位かしら?。中垣技術士事務所という食品とはおよそ無関係のような名前の会社の社長中垣氏が、土井勝料理教室に持ち込まれたとき。
 土井勝校長とともに中垣氏の話を聞くのだが、「コーカサス地方の人が長命なのはケフィアを食べているから」だとか、「牛乳に入れるだけで簡単にできるので、ぜひ料理学校で使ってほしい」とか、「腸内に善玉菌が増えて悪玉菌をやっつける」とか言いながら、自分で作ったケフィアを保冷ボックスから取り出して試食をしてほしいと言われた。初めは少しこわそうな人に見えたが、話に熱が入ってきた頃にはなんとなくうちとけていた。
 ケフィアは、さっぱりとしてくせがなく、かと言ってあまり味もないものだった。決して「うわ---、おいしい」と言える様なものでもなかった。その時、土井勝先生が「杉立先生、今度の旬の料理(土井勝先生が自ら教えるクラスで、テキストも撮影して作る)に、このケフィアを使ってください。旬の苺でやわらかめのジャムを作り、固めたケフィアの上に流してください」と言われたのです。
 いろんな会社のいろんなメーカーの人が、いろんなものを持ってこられるのですが、土井勝先生自ら直接会って話を聞かれる機会は、あまりありませんでした。それが何のタイミングのよさなのか、たまたまなのか、土井勝先生が何かを感じとられたのか、間に入って一度話を聞いてやってほしいと言われた方が良かったのか、原因はわかりませんが、とにかくケフィアを使って献立を作り、旬の料理のテキストに載せると言うことになったのですから作らないわけにはいきません。
 牛乳に混ぜて約1日常温において固めるのですが、苺ジャムをのせると重みで沈んでしまいます。ケフィア菌と牛乳の割合、置く時間、温度といろいろやってみました。結局、少ししっかりと固めるには、500mlの牛乳にケフィア菌ステックを1本入れるとよく固まるのと、固まりが悪いときはもう暫く常温で置くことにより、菌が活性化して少々硬めのケフィアが出来上がると言うことがわかってきました。この料理に使うケフィアの硬さのポイントは、飲むケフィアでなく、食べるケフィアに仕上げることでした。グラスに固めて冷たくしたケフィアの上に、とろりとした手つくりの苺ジャムをのせると、見た目にも赤と白のコントラストがきれいで、苺の香りがして、甘味のないケフィアにジャムの甘味がちょうど良く、とてもおいしくて、試作なのに2っも3っも食べてしまいました。ちょっともみじの小枝でも添えてお出ししたら、お客様のおもてなしにも使えますし、食後のデザートには最適ですょ。
 今、私が大好きなケフィアの食べ方は、イチジクのワイン煮と一緒に食べる方法です。秋のイチジクの終わりの頃、イチジク畑に行って1箱1000円位で30〜40個位入った小粒のイチジク(もう終わりなので大きくならないし、畑のおばさんも大サービスしてくれる)を買って来て、皮をむき砂糖と赤ワイン、レモン汁少々で煮て冷まします。この時期にたっぷり作って冷凍しておくのです。好きな時に解凍して、ケフィアの上にイチジクを1個のせて、たっぷりのシロップ(イチジクの煮汁)を注いで、スプーンで食べると1日中”快腸”ですょ。
 土井勝先生も出張の多い時、特に東京では3日〜1週間位の滞在が多かったため、帝国ホテルについたら、私はまず地下で牛乳を買って部屋に届けます。すると先生は持参のケフィア菌を1本入れてよく振って翌日まで置き、翌日から冷蔵庫に入れて毎朝ジャムをのせ、少しずつ食べられていました。出張が続くと不規則な生活になり、運動不足とストレスが加わって便秘になりがちとか。そんな時このケフィアを毎日食べていると、とても調子が良いとおしゃっていました。チーズが大好きだが、ヨーグルト類はあまり好きでないと言われていた土井先生ですがケフィアがお気にいっていたようで、やはり健康管理には細心の注意をされていたようでした。
 それから後、あちこちの講演でよくケフィアの話をされていたのですが、ある時ケフィアブームが一気に訪れ、私達でさえ手に入りにくくなってきました。ましてや料理学校の生徒さんや地方の方々がぜひわけてほしいと言われても、ケフィア菌が手に入らないのですから、どうすることも出来なくなりました。それ以後もう買えないなとあきらめて忘れていたのですが、先日、中垣氏からケフィアの料理と食べ方を提案してほしいと依頼を受け、いろんな事が蘇ってきました。
 今月から、思いで深いケフィアを使って、いろいろな料理を提案していきますので、皆様もぜひ一度作って見て下さい。
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