アロニア果汁摂取による
Arrdc3発現調節を介した脂肪蓄積減少効果

山根拓也
第90回日本生化学会大会 

2017年12月6日~12月9日

 

要旨

アロニアには多様な健康機能があることが知られています。これまでの研究でアロニアには高血糖や肥満の改善効果があることを明らかにしてきました。高血糖改善効果はアロニア含有成分によるジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)やα-グルコシダーゼ活性が小腸で阻害されることで引き起こされます。アロニア含有成分にはDPP IVを阻害する物質が含まれており、アロニアを摂取すると、glucagon-like peptide-1のDPP IVによる分解、不活化が阻害され、高血糖が改善されます。この時、α-グルコシダーゼ活性阻害およびglucose-dependent insulinotropic polypeptideの発現減少も同時に起こるため、脂肪蓄積が減少すると考えられていますが、その分子機構は明らかとなっていません。またC57BL/6マウスおよび糖尿病・肥満モデルであるKKAyマウスにアロニア果汁を摂取させると、肝臓および白色脂肪組織への脂肪蓄積が減少することを見出しまし、さらに肝臓においてarrestin domain-containing 3 (Arrdc 3) mRNA発現がC57BL/6およびKKAyマウスの両方で減少していることが明らかとなっています。Arrdc 3はβ-adrenergic receptorに結合してそのシグナルを低下させることが知られており、さらにArrdc3ノックアウトマウスの脂肪組織では皮下や内臓脂肪がコントロールマウスと比較して減少し、peroxisome proliferator-activated receptorsの発現が上昇することによりuncoupling protein 1発現が増加することが報告されています。本研究では、アロニア果汁を添加したマウス脂肪細胞において脂肪蓄積抑制が起こることを見出したので、報告する。

 

アロニア摂取により肥満が改善されることが報告されています(図1)。

 
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図1 アロニア摂取による肥満改善効果

 

アロニア果汁の添加によって3T3-L1細胞における脂肪蓄積が抑制されました(図2)。

 
F2

図2 アロニア果汁添加による脂肪蓄積抑制効果

 

また脂肪細胞への分化が進むにつれてArrdc3 mRNA発現は増加しましたが、アロニア果汁添加によりその発現増加は抑制されました(図3)。

 

 
F3

図3 アロニア果汁添加によるArrdc3発現抑制効果

 

以上の結果から、Arrdc 3発現調節がアロニア含有成分によって負に誘導されることにより、脂肪蓄積の減少が起こると考えられました。